「世の中がワクワクな人たちばかりになること」が、僕の人生のミッションー大村信夫(...
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ニソクノワラジ
2021.02.22
ニソクノワラジ
いつか世界中を旅してみたい。
みなさんの中に、そんな夢を持っている方はいらっしゃいますか?
今回インタビューを行ったのは、オンラインビジネススクール『ビジネスラボ』を主宰されている紙谷淳子さん。
紙谷さんは2019年に、ふたりの子供を持ちながら、オーストラリア人の夫とともに、世界中を旅した女性です。
世界中で旅している間も、多種多彩に積み上げてきたパラレルワークを、オンライン上で展開した紙谷さん。
今は、そのノウハウをオンラインビシネススクール『ビジネスラボ』で提供する活動をしています。
元々、日本とオーストラリアでの教員経験もあり、自分の興味が赴くままに、多彩なキャリアを掛け持ってきた紙谷さん。
人生で一番辛かった時期は「パラレルワークができなかった期間」だったそうで・・・。
今回は紙谷さんの日本とオーストラリアを股にかけた怒涛のキャリアを紐解きつつ、日本とオーストラリアとの家庭観や仕事観のギャップや、ママにとってのオンラインビジネスの可能性についてお伺いしました。
<Profile>
スチュアート紙谷淳子
オンラインのビジネススクール『ビジネスラボ』主宰
大阪府出身。鹿児島県在住。アメリカでの新聞読者記者を経験。アメリカで教育の大事さに気がつき、日本に帰国後、看護師のアルバイトをしながら通信教育の大学で教員免許を取得。5年間の日本での教員生活を経て、オーストラリアへ渡る。その後、教員免許の書き換え制度を利用し、正式にオーストラリアの公立学校の教員となる。オーストラリアでは教員とのパラレルワークで、スポーツメーカーのウォーキングライターや、オーストラリア中を旅するトラベルライター、現地のFM日本語放送のラジオパーソナリティなどを経験。
私生活ではオーストラリア人でジャーナリストの夫を持つ二児の母であり、現在第三子を妊娠中。2019年には「子どもが巣立つ前の10年間を濃密な時間にしたい」という想いから、家族で世界中を旅し、16カ国をめぐる。旅の間も収入が得られるように、オンラインビジネスを立ち上げる。現在は、日本の教員免許をオーストラリアのものに書き換える教員向けのサポートカウンセリング、教員サポートを留学エージェントさんにご提供するビジネスコンサルティング、人生経験をビジネスにするビジネスデザイン講座、教育とパートナーシップのカウンセリング、教育雑誌やサイトに連載・執筆・・・など、多彩なビジネスをオンライン上で展開。また、オンラインビジネスを学べるのビジネススクール『ビジネスラボ』を主宰し、起業したい女性たちに自身のオンラインビジネスのノウハウを提供している。
ー紙谷さんはオーストラリアでの教員時代も、オンラインでビジネスを展開されている現在も、とても多彩にパラレルでお仕事をされていますよね。
ええ。興味があることに貪欲に取り組んでいったら、結果的にパラレルになりました(笑)日本の公立学校の先生だった期間は、パラレルワークができなくて・・・。その数年間は私の人生で最も辛い時期だったんです。
ーどのようなところに辛さを感じていたのでしょうか?
まず時間を自分でコントロールできないのが辛かったですね。先生をしている時の忙しさって、もう半端じゃなくて。とにかく仕事量が膨大なんです。朝7時に出勤して、帰宅するのは夜10時過ぎが日常茶飯事で・・・。パラレルワークをしている余裕なんてありませんでした。公務員なので規則的にも縛られていますしね。
ー今は日本の先生の労働問題が取り沙汰されることも多いですよね。紙谷さんはオーストラリアでの教員経験もおありですが、オーストラリアでは先生が教職以外の仕事を持つことはあるんですか?
そうですね。オーストリアだと、週2日学校で先生をやって、週3日カフェの店員っていう働き方もOKなんです。もちろんフルタイムで働いているの先生もいますけど、日本の先生のようにフルタイムで働くのが「当たり前のこと」ではないんです。例えば子どもが生まれたから、勤務は週2日だけにして、子どもが小学校に上がる年齢になったら週5日に戻します、って選択もできる。とてもフレキシブルに働き方を選択できるんです。
ー紙谷さんはオーストラリアの方と国際結婚をされていますが、日本との価値観にギャップを感じる部分はありましたか?
オーストラリアでは、家庭のことは夫婦でするのが当然でしょ、っていう考え方がベーシックなんです。だから、女性が仕事を持つ、ということが当たり前で。私たち夫婦も、お互いにチームとして動いていて、私が忙しかったら家事は夫が担当するし、逆に夫が忙しい時は私が家事をやる。これが私たちの家庭ではスタンダードになっています。女だから男だから、妻だから夫だから、って考え方がそもそもないんです。でも、オーストラリアで国際結婚をしている夫婦でも家事は奥さんの担当だ、って考え方の家庭も結構あるし、逆にパパが育児休暇を取って毎日子どもの世話をしている、って家庭もありますよ。
ー多様性が認められている社会なんですね。
そうですそうです。オーストラリアは午後3時とかの保育園のお迎えは半分くらいがパパだったりして。その光景ってあんまり日本では見られませんよね。オーストラリアではフルタイムで働いても午後3時に子どもを保育園迎えに来れるフレキシブルな仕組みが社会的に構築されているんです。日本ではママが保育園の送り迎えをするのが当たり前だって先入観があるのかな、って帰国後に改めて思いました。
ー女性が仕事を持つのが当たり前の社会だと、女性同士で会話する際の話題も変わってきそうですよね。
そうですね。例えばオーストラリアで女性同士で話していても「一人の女性としてどうに生きていきたいのか」ってテーマになることも多いですね。
だから、オーストラリアで日本人らしく生きていると辛いかも、って思います。日本の専業主婦の価値観のままオーストラリアに住んでいたら、「息子(娘)の将来がねー」とか「うちの旦那がー」って話すと「NONONONO!”あなた”は何が好きなの?”あなた”はどう生きていきたいの?」って質問が返ってくる。そんな時に「あ、私、自分がどう生きていきたいかって考えたことなかった。家族のことしか話してないな」ってなっちゃうかもしれないですね。
ー紙谷さんは国際結婚するまで、結婚に対してどのような価値観をお持ちだったんですか?
私は学生の時から「自分のやりたいことをやり切って死のう!」ってずっと思っていて。それは国際結婚をした今でも変わっていないですね。結婚もしなくてもいい、って思っていたくらい(笑)
今の夫と結婚したのも、私のやりたいことと、夫のやりたいことが合致したからで。「この人と一緒なら、私は私の人生を追求できるな」って思ったんです。
ーまさに出会うべくして出会われたお二人なんですね。
今の夫じゃなかったら、世界中を家族旅するなんてできなかったかもしれないですね(笑)
ー紙谷さんはオンラインビジネスを学ぶビジネススクール「ビジネスラボ」を主宰しています。「ビジネスラボ」を立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。
もともと日本の教員免許をオーストラリアの免許に書き換えるには、英語の試験を受けなければいけなくて、その書き換え試験について、オンラインで教えていたんです。でも、今年のコロナ騒動で英語の試験を受ける人がいなくなって。「じゃあ他に何をしようかなー」って考えた時に「私のこの経験を他の人に役立てたいな」って思ったんです。私が世界中を旅できたのも、日本に帰国した時に住む場所を鹿児島県にできたのも、オンラインで完結できるビジネスのあり方を学べたからこそなんです。今は私が学んだオンラインビジネスの方法を、私なりにセットアップして、受講生の方々にお伝えしているという感じですね。
ーオンライン上で完結できるビジネスはママにとっても新しい価値観を提供できそうですよね。
最高ですよね!ママとの相性もいい。やっぱり子どもがいたり妊娠をしていると、どうしても時間に縛られちゃうんですよね。子どもにいつ何があるかわからないし、ママはそれにすぐ対応もしなきゃいけない。時間の融通を効かせなきゃいけない場面がたくさんあるんです。でもオンライン上だったら、締め切りさえ守れれば自分で自分の予定をオーガナイズできる。時間の融通が利くビジネス、ってママにとってすごく魅力的なんですよね。
ー住んでいる場所も時間も関係なく、家にいながら社会との繋がりができるのも、オンラインだからこそのメリットでもありますよね。
まさにその通りです。家にいながらにして、社会的欲求が満たされるのはとても大きい。私もオーストラリアで、社会との繋がりがないー!って苦しんだ時もあったので。
ーええ!!そんな時期があったんですね!
オーストラリアでは夫も出張が多くて、生活のほとんどが、家に私と子どもだけ、って時期があって。生後間もない頃にスーパーやカフェに娘と出かけたら、突然涙が出て止まらなくなってしまったり。今思えば、産後うつみたいな感じでしたね。
ママって「頑張ったね」って言ってくれるのは夫くらいなんですよ。私の場合はラッキーだったので、夫が「頑張ってくれてありがとう」「淳子、グッジョブ!!」って言ってくれますけど、必ずしもそういう家庭だけじゃないですよね。例えばママとして頑張っているエネルギーを仕事に費やしたら、「すごくいい仕事だね」って褒められたり、社会的に居場所もできる。でも、家で孤独に頑張って戦っていても、ママはなかなか認めてもらえないんですよね。だからこそ、オンライン上で、例えば「あなたの経験を聞けてよかったです。人生の役に立ちました」って声をもらえれば、社会的欲求も満たされるし、自己肯定感にも繋がる。しかもオンラインだったら、外に出て、支度して、電車に乗って移動して、って時間も必要ない。ママにとってメリットだらけなんです。
ー自分との社会との繋がりが希薄になってしまうことで、自分の存在価値への悩みを抱えるお母さんも多いですよね。
そこでビジネスをすることで「ちょっと気が紛れたー」「気分が楽になったー」って子どもにニコって笑いかけることができたら、子どもはすごく大きな幸福感に包まれますよね。それは先生として国語や算数を教えることより大切なことだと思うんです。子どもにとって本当に親の影響は本当に大きくて、親がハッピーじゃないと、子どももハッピーになりにくいんです。ビジネスラボで「ママも好きなことをやっていいんだよ」って伝えると、ママが笑顔になる。ママが笑顔になると、子どもも笑顔になりますよね。それが家庭全体をハッピーにしていくと思うんです。
ーなるほど。
大人向けにビジネスを教えていても、私は自分自身を先生時代と変わらない”子どもの教育者”だと考えています。ビジネススクールはママに直接の価値を与える、というよりも、ママを通した子どもたちに対して、価値を与えていきたいんです。
ー大人向けのビジネススクールは、結果的に未来の子供達への”教育”に繋がる取り組みなんですね。
そうです。普通の主婦だって、必ず何かしらのビジネスの”タネ”を持っているんです。例えば、国際離婚の無茶苦茶ややこしい制度を調べた経験とか、子どもをマルチリンガルにするために子育て中に色々研究したこととか。自分がパッションを持って取り組んでいたことを体系化して、ビジネスにして世の中に還元しよう、というのが今の『ビジネスラボ』の基本的な構造です。いわばその経験というビジネスの”タネ”が形になって、「私の経験がビジネスになるんだ!」「私の経験を求めてくれる人がいるんだ!」ってなると、自己肯定感も上がるし、セルフイメージの向上にもなる。ママとしての自分が輝きを放つんです。そうすると、子育て中でも心から子どもに対してにっこりと微笑みかけられる。それが、子どもにとってのより良い未来に繋がっていくんです。
ー子育てへの不寛容さや虐待問題など、暗いニュースが多い中でオンラインでのビジネスは新しい兆しを生みそうですね。
オンラインでのビジネスを教えてはいるけど、ビジネスを教えること自体が目的ではない、ってことは常に考えていますね。ママの笑顔が繋ぐ子どもの幸せ。私はあくまでオンラインビジネスの先の価値を生み出していきたいんです。
実は、子どもってそんなに手をかけなくても育つもので。しかも、ママとして子どもに密に接する時間ってそんなに長いものじゃない。子どもも10歳くらいになれば友達が大切になったり、自然と外の世界との関わりから社会について学ぶものです。でも、巣立ちの時期になって「ねえこっち振り向いてよ」って言っても、子どもには振り向いてもらえませんよね。共依存関係になってしまうのは、そういった子供の発達を知っていなかったり、ママが自分のことをほったらかして100%子どもに尽くすのが”一番いいこと”だと信じているからじゃないかって。でも、その巣立ちの時に、ママがオンラインビジネスで自分の人生を追求できれば、子育てとは別の心の拠り所が生まれますよね。それがママが自分の人生を歩んでいくことに繋がっていくと思います。
ーママだって「自分の人生を生きていい」ってことですね。
そうそう!だから、私は笑顔になるママを増やしたいんです。家庭の中に笑顔があふれると、子どもも自然と笑顔になります。私は出会った人すべてが笑顔にしていきたいんです。女性が笑顔だと、一家が幸せになりますから。