自分の生活をリリックにすれば、普通の社会人のラップにもリアルが宿るんです。ー諒太...
2020.05.28
ニソクノワラジ
2020.06.11
ニソクノワラジ
今回インタビューを行ったのは、経営者の田中綾乃さん。
子供時代から経営者になりたいという目標を持っていたという田中さんは、キャビンアテンダントやベンチャー企業を経験した後、実際に経営者の道へ進んでいる。
会社員を経験した後、経営者になるという道を選んだ田中さん。より仕事に対する完璧さを求められるかと思いきや、「自分に対して完璧主義者」だった会社員から、今では「寛容」な経営者になったらしく・・・?
「別に失敗したって死にはしない」そう笑顔で語る裏には、経営者として先輩である両親の影響と、決して自分の力だけだとは思わない、周りの人への感謝があった。
田中綾乃
大阪府出身。株式会社グラン ラ ビジョン代表取締役。大手航空会社でキャビンアテンダントの仕事を経験した後、コンサルティング会社へ転職。その後、経営者の道へ。現在では両親の営むヘアサロンの経営や、コーチング事業を展開。
ー田中さんはキャビンアテンダントやベンチャー企業での仕事を経験した後、経営者の道に進まれています。そもそも経営者になりたいと思ったのはなぜなのでしょう?
私、子供の頃から起業をしたいと思っていたんです。というのも、私は両親が自営業だったので、経営者としての両親の姿をずっと側で見ていたんですね。でも、私自身、一体どんな事業で起業したいか自分でもわかっていなくて(笑)それで、まずはキャビンアテンダントの道に進んだんです。
CA時代はチーフパーサーというポジションになりました。チーフパーサーはチーフとして自分でフライトを作り上げることができて、自分の仕事次第でフライトのカラーが変わる。創造的で楽しい仕事でした。その経験は私にとっても大きくて「組織の中ではなく、自分で『ゼロからイチ』を作り上げてみたい!」って想いにつながりました。それで、「私は起業するんだ」って改めて決意したんです。
ーはじめは「独立したい、起業したい」という気持ちがあったものの、まだビジョンが明確ではなかったんですね。
そうですね。自分がどんな事業で独立したいのかわからない時期だったので、とにかく準備より、やりたいことを見つける期間でしたね。色々なセミナーに足を運んだり、本屋さんで自分がワクワクするタイトルの本を片っ端から買って読んでみたり。その後、CA時代に出会った「コーチング」を事業にしてみたい、という想いが自分の中に生まれてきたんです。そこからベンチャー企業に入社して、一年間、働きながら複業という形で起業の準備をしていました。
ー起業準備という複業を経験して成長した部分はありますか?
「覚悟」ができましたね。経営者って、思っている以上にグレーなことを判断しなきゃいけない場面がたくさんあるんですよね。最初は周りの目を気にしたり、ひとりでぐじぐじ悩んでしまったり。でも、徐々に、他人の目を気にしても仕方ないし、はじめから正解だけを出そうと思っても絶対無理!ならまずは沢山経験しよう!って覚悟と潔さを自分の中に持つことができるようになりました。決めたことはパッと決めて、実行に移す。気持ちの切り替えが上手になりました。それに、会社員時代は自分に対して完璧主義を貫いていたけど、いい意味で自分に寛容なりましたね(笑)
ー寛容になった、というと?
航空会社での後半二年間は管理事務の仕事をしていたんですけど、当時の私の性格的に、与えられた作業を自分の中の完璧に照らし合わせて進めようとしていて…。でも結局それは上司から求められているものではなく、今考えると自分よがりな仕事の仕方になってしまっていたんですね。それがちょっと辛い時期もあって・・・。その頃に比べると、だいぶ考え方は変わりましたね。自分を許せるようになった。
ー経営者の方がより完璧を求められるイメージがありますよね。
経営者になってからも「孤独だな」って思う時あるし、誰にも相談できない悩みもある。でも、ひとりで抱え込んでしまっている時に、母から「あなたが思うほど、周りはあなたにそんなに期待していないから(笑)」って言われたんですよね。その言葉にすごく救われて。ひとりで考え込んでても仕方ないよな、って思えたんです。自分の中の変な完璧主義が悪さをしていたんですよね。それが自分を苦しめていた。でも、その言葉で「自分がどんなに頑張っても無理な時は無理だな」って気持ちが切り替わって、ふっと楽になったと同時に、頑張る方向を間違えると効率悪いなと改めて感じました(笑)
ー起業するにあたって不安だったことはどんなことでしょう?
やっぱり「この先、生活していけるのかな?」っていう不安はありましたね。でも、「失敗したらバイトからやり直せばいいや」っていう覚悟もできていました。両親の影響が大きいですね。両親はチャレンジングな人たちで、美容室をゼロから立ち上げて、お客さんがまったく来ない時もあったし、お金が大変な時期もありました。でも、そんな時も父は「一回くらい自己破産しとくか!」みたいに、あくまでもそれくらいの覚悟ってことですが(笑)現状を笑い飛ばしていて、それに対して母も「ゼロになったらそこからまたやり直せばいいじゃん」って。不安なことに対峙しても、両親は落ち込んでいなかった。その影響は私にとって間違いなく大きいですね。「別に失敗したって死にはしないでしょ」って(笑)
ー会社員時代とは違う、経営者として「自分の力でお金を稼ぐ面白さ」はどんなところでしょうか?
会社員の時は、ひと事というか100%自分ごととして捉えるのは私はできなくて。もちろん、お客様のために一生懸命仕事はしていましたけど、やっぱりどこか「人の会社」という意識があったんですよね。でも、独立して、経営をするようになると仕事の細かい部分や流れの最終部まで自分で見ようとしますよね。「お客様の反応はどうだっただろう?」って気にもなりますし、以前にも増してお客様のことが愛おしくて仕方なくなりました。独立すると、自分の力はほんの数%しか作用していなくて、周りの人のおかげで自分は経営者でいられるんだ、って身に染みてわかりますね。
ー起業ってどうしても、お金もかかるし、失敗したら大変な事になってしまう。そんなハードルが高いイメージがありますよね。
自分の中にやりたいことがあるんだったら私はやってみるべきだと思っています。起業ってなると、「大きい会社を、すごい人が興す」そんなイメージがありますよね。でも全然そんなことなくて、ひとりで小さくはじめてみるのも起業なんですよね。まずは自分がやりたいことで、最初はギリギリでもいいから食べていけたらいいじゃん、からスタートしてみても起業なんです。稼げない時は二足の草鞋で、アルバイトや会社員と並行してやってみればいい。起業って言葉に引っ張られて、自分がやりたいことを疎かにしてしまうのは、なんだかもったいないですよね。
ーやりたいことがあるんだったら、独立を視野に入れてみてもいい、と。
それこそ会社員をしながら複業をする、二足の草鞋の素晴らしさは、やりたいことを心に余裕を持ってできることですよね。会社員でお金をしっかり稼ぎながら、やりたいことで副収入を得ることもできる。本業で「学び」を得ながら、並行して独立のための準備をすることだってできる。本業と複業で、どちらの学びも得られるのは大きいですよね。私はいきなり独立しなくてよかった、って思っているんです。10年間組織の中で働いていたからこそ、世の中のことを知ることができた。会社員って、人のつながりだったり、仕事の仕方だったり、得られるものも大きいですよね。
もしやりたいことがあるんだったら、準備はほどほどに、まずは行動してみるのが大切だと思います。「これができるようになってから」とか「あの資格が手に入ってから」じゃいつまで経っても行動に移せませんよね。だから、会社員をしながらお試しでやってみるのって、すごくいいことだと思うんです。自分が使っている時間の見直しにもなる。それが自分の生き方を見つめ直すきっかけにもなりますよね。最初は「まず明日からなにができるか」を考えてみる。例えば名刺作りからはじめてみるのもオススメです。「自分は名刺にどんな情報を載せたいんだっけ?」「自分の肩書ってなに?」って考え直すきっかけにもなりますよね。まずは、自分の手の届く範囲から行動してみると、自ずと道が見えてくると思います。